近江町市場を訪れる旅行者の多くが目当てにするのが、器からあふれんばかりの魚介が盛られた豪華な海鮮丼です。しかし、市場内には海鮮丼を提供する店舗が20軒以上ひしめき合っており、店舗選びによって満足度が大きく左右されます。ネット上の口コミや各種メディアで話題の海鮮丼ランキング上位店を精査すると、豪華絢爛な観光向けビジュアルを前面に押し出す店舗と、金沢港直送の鮮度と職人技で勝負する本格派の2系統に明確に分かれています。
取材と実食調査を通じて見えてきたのは、「行列の長さ=自身の好みに合う店」とは限らないという点です。SNSで拡散されやすい金箔付きの豪快な丼は写真映え抜群である一方、お昼時(11:30〜13:30)には60〜90分待ちが常態化しています。対して、地元客やリピーターが足繁く通うランチ向け海鮮食堂では、過度な装飾を排し、その日の朝獲れ魚介を適正価格で提供することに重きを置いています。
また、近年特に人気が沸騰しているのが、白身のトロと称される高級魚「のどぐろ」です。市場内の寿司店では、注文を受けてから皮目をバーナーで香ばしく炙り、上質な脂の甘みを引き出したのどぐろの握りや炙り丼が圧倒的な支持を集めています。金沢の食通たちが「まずは塩とすだちだけで味わってほしい」と語る通り、鮮度抜群ののどぐろが持つ本来の旨味は、市場ならではの格別な体験といえます。