従来の「リアル脱出ゲーム」が閉ざされた部屋からの脱出を目的とする密室型であったのに対し、街全体をフィールドに見立てる周遊型謎解きイベントは、開放感と観光性を兼ね備えたコンテンツとして支持層を急速に拡大してきました。とりわけ2026年の現在では、AR(拡張現実)技術や位置情報サービス(GPS)のシームレスな統合が進み、プレイヤーが現実世界に実在するモニュメントとスマートフォンの画面を行き来しながら、まるで物語の主人公になったかのような没入感を味わえる設計が標準化しています。
この分野を牽引する代表格が、SCRAP ナゾトキ街歩きゲームと、宝探し・周遊企画のパイオニアであるタカラッシュ 街歩きです。東京メトロと連携して社会現象となった「地下謎への招待状」をはじめ、主要都市の鉄道各社や自治体がこぞって周遊イベントを仕掛けており、街の隠れた名所や知られざる歴史を再発見できる「知的観光」としての側面が高く評価されています。
社会学的な観点から見れば、これは現代人が求める「都市空間の再魔術化」とも解釈できます。普段は通勤や通学で無機質に通り過ぎるだけの駅前広場や商店街が、暗号を解く鍵を秘めた「発見の迷宮」へと意味を塗り替えられる――この能動的な認知的快感が、多くのリピーターを惹きつけてやまない本質的な理由です。