角田美代子の死によって不透明な幕引きを余儀なくされた「尼崎連続変死事件」は、単なる連続殺人事件の枠組みを遥かに超えていた。借金や近隣トラブルを口実にターゲットの家へと強行突破で上がり込み、巧妙な話術と激しい暴力を織り交ぜて家族間の対立を煽る。血縁者同士に暴力を振るわせ合い、疑心暗鬼を生じさせることでマインドコントロールの網を広げていく手口は、冷酷かつ計算し尽くされたものだった。
長年にわたり、数々の家族が資産を奪われ、精神を壊され、命を落とした。被害者の数は角田の周辺で十数人に及ぶとされる。自責の念と恐怖で正常な判断力を奪われた人々は、脱出の機会がありながらも逃げ出すことができず、互いを監視し合う「密室の収容所」へと追い込まれていったのである。