水難事故の報道が流れるたび、SNSや掲示板などの江ノ島水難事故に対するネットの反応では、「なぜ遊泳禁止エリアに入るのか」「浅瀬に見えるのに信じられない」といった疑問や厳しい声が数多く上がります。しかし、現場で実際に救助に当たるライフセーバーやベテランサーファーの手記や証言を辿ると、当事者が決して無謀な挑戦をしたわけではなく、「気づかないうちにトラップに嵌まっていた」という実態が浮かび上がってきます。
取材に応じた地元ライフセーバーは次のように語ります。
「片瀬西浜の離岸流は、白い波が立たず海面が穏やかに見える場所で発生することが多いのです。波が穏やかだから安全そうに見えて、初心者が自らそのスポットに入ってしまい、足をとられてあっという間に流されます。『助けて』と叫ぶ余裕すらなく、静かに沖へ運ばれていくのが離岸流の恐ろしさです」
また、公の場や記者会見で語られる救助記録によると、事故遭遇者の多くが「水深が腰の高さ程度だった場所から、たった1歩踏み外しただけで底がなくなり、押し戻せなくなった」と述懐しています。ネット上の冷ややかな視線と現場の過酷な物理現象との間には、海という自然の脅威に対する認識の大きなギャップが存在しています。