加瀬邦彦さんの音楽キャリアは、日本のエレキ・ロック黎明期とともに歩んだ歴史そのものです。学生時代からギターに熱中した加瀬さんは、名門「ザ・タイガース」の前身バンドに関わったのち、寺内タケシとブルージーンズなどを経て、1966年に「ザ・ワイルドワンズ」を結成しました。
自ら作曲を手掛けたデビュー曲『想い出の渚』(作詞:鳥塚しげき)は、瞬く間に大ヒットを記録。当時流行していたエレキサウンドに哀愁漂う美しいフォークロック調のメロディーを融合させたこの楽曲は、GSブームを代表する金字塔となりました。
加瀬さんのトレードマークとなった12弦ギターのきらびやかな音色と、湘南の海を想起させる爽快なウェストコースト風のサウンドは、当時の若者文化を一変させました。その後も『夕陽と共に』『青空のある限り』など数々のヒット曲を連発し、グループ・サウンズのトップランナーとして一時代を築き上げました。