「タイ料理=激辛」という固定観念は、実は国外で刺激的なメニューばかりが強調されすぎた側面が大きい。いま、タイ政府観光庁が推進する食文化プロモーションでは、辛さだけに頼らない多層的な魅力が世界に向けて発信されている。
アジアの食文化に詳しいジャーナリストは、「タイの食卓には、甘味・酸味・塩味・ウマ味が絶妙に調和した辛くない日常食が無数に存在する」と指摘する。近年のフードツーリズムの隆盛にともない、刺激的な辛さを求めて渡航する旅行者だけでなく、食材本来の旨味やハーブの香りを堪能したいと考える旅人が激増。世界のグルメトレンドは、辛さの限界突破から「繊細な味覚の探求」へと明確に舵を切っているのだ。