女形としてのリアリティと、突き抜けたコント的ナンセンスの絶妙なバランス。桑原和男が作り上げた「桑原和子」というキャラクターは、上方演芸の長い歴史の中でも極めて異彩を放っていた。単なるおばあちゃんの真似事ではない。男である彼が演じるからこそ生まれる独特のおかしみと、どこか包容力のある母性が同居していた。
桑原和子は、登場するだけで観客を笑顔にする魔法のような力を持っていた。吉本興業の舞台において、若い座員たちを引き立てつつ、一瞬で爆笑をさらう立ち回り。彼女が舞台に現れると、場の空気が一変した。その存在感は、吉本新喜劇の金字塔として今も語り継がれている。