稲川会の歴史を紐解く上で、創始者である稲川聖城の存在を抜きには語れない。熱海を拠点に博徒組織から日本有数の巨大組織へと押し上げた彼が築いたのは、徹底した縦社会の規律だ。その規律は、組員が所持する名刺のデザインにも色濃く反映されている。
本物の名刺には、組織の象徴である「代紋」が燦然と輝く。金箔押しや特殊なエンボス加工が施され、最高級の和紙や厚手の上質紙が用いられるのが一般的だ。役職によって代紋の大きさや色合い、フォントが細かく定められており、直参組長クラスと下部組織の組員とでは一目で違いがわかる。名刺一枚の扱いを誤るだけで厳しい処分が下されるという暗黙のルールが存在するのだ。