利他性(Altruism)とは、自分自身の直接的な利益を第一の動機とせず、他者の福利や利益を増進させようとする動機付けや行動特性を指します。日常会話では「優しさ」や「親切心」と同義で扱われがちですが、心理学や社会科学では明確な概念として定義されています。
まず押さえておきたいのが、利他性と利己性の違いです。利己性が「自らの欲求充足や利益獲得」を起点に行動を選択するのに対し、利他性は「他者の課題解決やウェルビーイング向上」を目的とします。ただし、人間は完全にどちらか一方に偏るわけではなく、状況や関係性によって両者のバランスを変化させながら生きています。
さらに混同されやすいのが自己犠牲との違いです。自己犠牲は「自分を削って相手を救う」というマイナスのトレードオフを前提としますが、健全な利他性は「自分自身の安定や資源を土台にした他者貢献」を基盤とします。自分をすり減らして行う行為は長続きせず、やがて依存や疲弊を招くため、学術的にも持続可能な利他行動とは明確に区別されています。