『コウノドリ』を象徴するメインテーマ曲『Baby, God Bless You』は、清塚信也氏がドラマのために書き下ろした極めて難易度の高い楽曲です。流麗なアルペジオ、跳躍する左手のベースライン、そして感情の高まりとともに音数が増していくダイナミックな展開は、本職のピアニストであっても表現力を保ちながら弾きこなすには相当な訓練を要します。
綾野氏が体現した『Baby, God Bless You』の演奏が高く評価された理由は、単に音を外さずに弾いたという技術的側面だけに留まりません。
クラシック音楽関係者やサウンドクリエイターが注目したのは、「音を奏でる身体のフォーム」と「感情の連動」です。ピアノ初心者特有の「指先だけに力が入る不自然さ」が一切なく、肩甲骨から腕全体をしならせる脱力(アームウェイト奏法)が自然に行われていました。産科医として背負う苦悩や、誕生する新しい命への祝福というキャラクターの感情が、一音一音のタッチに投影されていた点こそが、視聴者の心を大きく揺さぶった要因と言えます。