2017年1月5日、いきものがかりは公式サイトを通じて「放牧宣言」と題したメッセージを発表しました。一般的な「活動休止」という硬い言葉ではなく、あえて牛が牧場でのびのびと草を食む姿になぞらえた表現は、彼ららしいユーモアとして受け止められた一方で、世間に走った激震は計り知れないものでした。
休止に至った最大の理由は、「デビュー10周年という大きな節目を越え、一度立ち止まってリフレッシュとインプットを行うため」でした。2006年のメジャーデビュー以降、『SAKURA』『YELL』『ありがとう』『風が吹いている』といったメガヒットを連発し、NHK紅白歌合戦の常連として息つく暇もなく駆け抜けてきた3人。年間を通じてタイアップ楽曲の制作やツアーに追われるなかで、個々の人間としての暮らしや、新たな音楽的インスピレーションを取り戻す時間が必要不可欠になっていたのです。
リーダーの水野良樹さんは後に、当時の状況について「グループとしての責任を果たし続ける中で、3人それぞれの個人的な体験や日常が削られていた」と振り返っています。音楽を嫌いになる前に、そしていきものがかりを長く続けるために選んだポジティブな選択、それが「放牧」の真実でした。