物語の主人公であるゴン=フリークスは、連載初期から「善悪の判断基準を持たない純粋無垢な存在」として描かれてきた。しかし、その危うい純粋さが極限状態に達したとき、彼は読者の想像を絶する破滅的な決断を下すことになる。
キメラ=アント編における「もうこれで終わってもいい」という言葉は、己の全才能と引き換えに絶大な力を得た彼の過酷な覚悟を象徴している。仲間を想う優しさと、復讐に囚われた冷酷さが同居するこの叫びは、従来の少年漫画の主人公像を完膚なきまでに打ち砕いた。言葉の裏に潜む圧倒的な歪みこそが、彼の光と影を色濃く反映している。