今回の戸籍法改正における最大の焦点は、戸籍に氏名の「ふりがな」を正式な記載事項として追加した点にある。これまでの制度では、漢字の読み方に関する直接的な規定が存在せず、公序良俗に反しない限り、事実上どのような読みでも受け入れられてきた。だが改正法施行に伴い、法務省は「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」という画期的な判断基準を打ち出した。
このルールによって、何が認められ、何が弾かれるのか。法務省の運用指針によれば、漢字の意味と真逆の読みを与えるケース(例えば「高」と書いて「ヒクシ」と読ませるなど)や、漢字の音訓や慣用からまったく連想できないものは受理不可と判断される。一方で、「海」を「マリン」と読ませるように、漢字の意味から合理的な連想が働く範疇であれば、個別の精査を経て認められる余地を残している。デジタル社会における本人確認の円滑化が表面上の目的だが、その根底には過度な珍名化を制御したいという強い行政上の意思が働いている。