これまでステロイド薬の内服と手術を繰り返すしかなかった難治性の好酸球性副鼻腔炎治療に、近年劇的なパラダイムシフトが起きています。その中核を担うのが、抗体医薬である生物学的製剤「デュピクセント(一般名:デュピルマブ)」です。
デュピクセントは、好酸球性副鼻腔炎の根底にある2型炎症の鍵物質「IL-4」と「IL-13」の働きをピンポイントで遮断する皮下注射薬です。従来の対症療法とは異なり、炎症の根本原因を強力に抑え込むため、以下のような目覚ましい臨床効果が実証されています。
- 鼻茸の縮小・消失:手術で取りきれなかった、あるいは再発した巨大なポリープが自然退縮する。
- 嗅覚の劇的な回復:長年失われていた「匂い」が短期間で戻り、生活の質(QOL)が飛躍的に向上する。
- 喘息症状の同時改善:鼻だけでなく気管支の炎症も同時に抑制するため、呼吸苦や咳が激減する。
現在では、ナビゲーションシステムを駆使した安全性の高い内視鏡下副鼻腔手術(ESS)で病変部を一度きれいに清掃した上で、デュピクセントなどの生物学的製剤を継続導入し、「再発ゼロ」を維持する治療戦略が標準となりつつあります。