過敏性腸症候群(IBS)の本質を解明するうえで不可欠なのが「脳腸相関」というメカニズムだ。東北大学の福土審教授をはじめとする専門家らの研究によれば、ストレスを感じた脳が自律神経を通じて腸に過剰な信号を送り、腸が異常収縮を起こすことで激痛や下痢が生じる。逆に、痛んだ腸の信号が脳の不安感を増幅させる負の循環が形成される。
日本消化器病学会が策定した「過敏性腸症候群診療ガイドライン」でも、器質的な異常(潰瘍やがんなど)が見つからないにもかかわらず、便通異常と腹痛が慢性的に続く病態として定義されている。放置して我慢を重ねると精神的なうつ状態を併発するリスクも高まるため、初期段階で消化器内科や、ストレス要因にアプローチする心身医学の専門医を受診することが治療の第一歩となる。