この城の背景を語る上で欠かせないのが、徳川四天王の筆頭として勇名を馳せた井伊直政の存在だ。関ヶ原の戦いにおける功績によってこの地を治めることとなった直政の遺志を継ぎ、その子である直勝と直孝の手によって完工に至った歴史を持つ。NHK大河ドラマ『どうする家康』でも描かれた激動の時代背景は、この城の防衛構造の随所に色濃く映し出されている。
切妻破風や入母屋破風、唐破風といった多様な破風を組みあわせた外観はまさに国宝建築の美を体現しており、日本100名城の中でも屈指の優美さを誇る。戦への備えと領主の威厳を兼ね備えた意匠は、見る者の心を揺さぶらずにはおかない。