この一戦が後世まで語り継がれる最大の要因となったのが、試合終盤の12ラウンドに起きた前代未聞の反則劇です。ポイントで絶望的な差をつけられ、焦りを募らせた大毅選手は、クリンチ際で内藤選手を持ち上げ、プロレスやレスリング技のようにマットへ叩きつける暴挙に出ました。
さらに問題視されたのは、インターバル中にコーナーのセコンド陣から飛んでいた指示です。チーフセコンドを務めた父・亀田史郎氏や兄・興毅氏が放った「ヒジでもいいから目に入れろ」「タマ打て」といった過激な言葉がテレビ中継のマイクに拾われ、お茶の間に生々しく放送されてしまったのです。
なぜあのような事態に陥ったのか。後に大毅選手本人が明かしたところによると、「絶対に負けられないという強烈なプレッシャー」と「若さゆえの精神的な未熟さ」が極限状態で重なり、冷静な判断力を完全に失っていたといいます。自ら煽り立てたビッグマウスの重圧に押し潰され、追い詰められた末のパニック状態があの暴走を生んでしまったのが真相でした。