上弦の陸の「真の本体」である妓夫太郎の実力は、それまで戦ってきた下弦の鬼や妹の堕姫とは完全に次元を異にしていました。長年、鬼殺隊の最高戦力である「柱」を15人以上葬ってきたという実績は伊達ではありません。
その戦闘スタイルの核となるのが、自らの血を凝固させて作り出した二振りの肉鎌と、そこから放たれる凶悪な血鬼術です。鎌に塗布された猛毒は極めて致死性が高く、忍の家系で生まれ毒に対する強い耐性を持っていた音柱・宇髄天元ですら、かすり傷一つで心臓の鼓動を止めかけるほどの威力を誇りました。常人であれば即死を免れないこの毒が、鬼殺隊側に強烈なタイムリミットを突きつけました。
妓夫太郎が操る代表的な血鬼術には以下のような技が存在します。
- 飛び血鎌(とびちがま):自らの血を鎌の刃のような斬撃として飛ばす遠距離攻撃。術者の意志で軌道を自在に変え、標的を執拗に追尾する。
- 円転万化・飛び血鎌(えんてんばんか とびちがま):自身の周囲に螺旋状の血の斬撃を張り巡らせる攻防一体の技。近接戦闘における絶対的な防御壁としても機能する。
- 跋弧跳梁(ばっこちょうりょう):肉鎌を高速で振り回し、周囲一帯のあらゆる攻撃を瞬時に迎撃・相殺する迎撃技。
さらに厄介だったのが、堕姫との間に結ばれた特異な連動性です。妓夫太郎は自身の左目を堕姫の額に埋め込むことで、視覚と神経を共有し、妹の戦闘力を飛躍的に引き上げる司令塔の役割を果たしました。そして最大の障壁となったのが「兄妹二人の頸を同時に切り落とさなければ消滅しない」という不死性のギミックです。この二重構造こそが、100年以上にわたり上弦の座が揺るがなかった最大の防壁でした。