那田蜘蛛山に君臨していた下弦の伍・累は、血の繋がりが一切ない他の鬼たちを集め、父・母・兄・姉といった「家族」の役割を割り振っていました。これがファンから「偽りの家族」と呼ばれる組織です。
鬼の絶対的支配者である鬼舞辻無惨は、鬼同士が共謀して自身に反旗を翻すことを防ぐため、原則として鬼が群れることを厳しく禁じています。しかし、累に対してだけは例外的に家族ごっこを黙認していました。無惨は累の境遇にかつての自分を重ね合わせ、強い執着と憐憫を抱いていたためです。
累がこの歪んだ家族関係を求めた理由は、「恐怖によって強固に結ばれた絆」こそが本物の絆であると盲信していたからに他なりません。配下の鬼たちには自身の血を分け与えて強化する一方、累の顔立ちに似せた顔へと整形させ、誰一人として逆らえない絶対服従の恐怖支配を敷いていました。少しでも役割を果たせなかったり反抗的な態度を見せたりすれば、日光で処刑するなど容赦のない虐待を行っていたのです。