珠世の生涯を語る上で欠かせないのが、従者である愈史郎(ゆしろう)との関係性です。愈史郎は、珠世が400年以上の年月の中で「唯一、自らの意志で鬼に変えた人間」でした。不治の病で死の淵にあった彼に対し、珠世は「人であることを捨ててでも生き延びるか」を厳格に問い、本人の同意を得た上で鬼化を行いました。
愈史郎にとって珠世は単なる救命者ではなく、神聖な美の象徴であり、生きる理由そのものでした。珠世が怒った際に「乱暴はいけません!」と窘められる場面はコミカルに描かれつつも、二人の間には絶対的な敬愛と信頼が結ばれていました。
無限城の激戦後、珠世を失った愈史郎は深い絶望に打ちひしがれますが、炭治郎の「死なないでください、珠世さんのことをずっと覚えていられるのは愈史郎さんだけです」という言葉を受け止め、生き抜くことを決意します。時が流れた現代編では、世界的に評価される高名な画家「山本愈史郎」として、珠世の肖像画だけを生涯描き続ける姿が描かれ、読者に深い感動を与えました。