日本語の文法体系において、名詞は自立語で活用がない「体言」に位置づけられます。国語の品詞分類における名詞は、主に普通名詞・固有名詞・代名詞・数詞などに細分化されますが、その中でも中心的な軸となるのが固有名詞と普通名詞の区別です。
固有名詞とは、特定の人、場所、事物、組織など、同種の他のものから区別された「唯一無二の対象」に付けられた固有の呼び名を指します。これに対して普通名詞は、同じ種類に属する事物や概念を包括的に指す言葉です。例えば、「山」や「川」は一般的な地形を指す普通名詞ですが、「富士山」や「利根川」は特定の対象を識別して名付けられた固有名詞に該当します。
また、混同されやすい代名詞との違いも押さえておく必要があります。代名詞は「彼」「彼女」「これ」「そこ」のように、人や物、場所を直接名前で呼ばずに指し示す語詞です。固有名詞が対象そのものに恒久的に固定された識別名であるのに対し、代名詞は文脈や発話者の位置関係によって指し示す対象が動的に変化するという決定的な差異があります。
固有名詞の直感的な覚え方・見分け方として有効なのは、「世の中に代替可能な同名グループが存在するか、それとも特定の1点(または1つのグループ)を指し示しているか」を問いかけることです。「スマートフォン」は世の中に無数にある機器全般を指すため普通名詞ですが、「iPhone」は特定の企業が製造・販売する個別シリーズを指すため固有名詞となります。