2000年代以降、彼の演技は本格派の重厚なサスペンスドラマにおいてさらなる深化を見せる。なかでもWOWOWの連続ドラマW枠で主演を務めた『震える牛』は、三上博史という役者の真骨頂を見せつけた金字塔と言える。
食肉偽装問題という社会の暗部に切り込む刑事役を演じた際、彼は組織の圧力に屈せず真相を追う男の執念を、鬼気迫るリアリティで描き出した。地上波ドラマの制約から解き放たれたWOWOWならではの重厚な作風の中で、彼の持つダークで知的な存在感が完璧に結実した瞬間だった。『震える牛』で見せた徹底的な役への没入と、複雑な人間の内面を浮き彫りにする演技は、日本のサスペンスドラマの質的転換を決定づけたとも言われている。