物語の舞台は、とある映画の撮影現場。ポーランド人の映画監督ウジノフスキが、資金難と演出の難航に頭を抱えている。物語を語ることを拒絶し、ただ「光」と「構図」の完璧さのみを追い求める主人公の姿は、ジャン=リュック・ゴダール自身の写し鏡だ。
明快なストーリーを求めようとすると、観客は足元をすくわれる。シナリオが存在しない現場で、キャストやスタッフは困惑し、制作費はあっという間に膨らんでいく。しかし、その混沌こそが彼の狙いだった。創作の苦悩、労働の現実、そして愛の不可能性。映画を作る過程そのものを映画として晒し上げるメタ構造によって、観客は「映画とは一体何なのか」という根源的な問いを突きつけられることになる。