工事費用の見積もりにおいて、設計担当者と施主の間で最も摩擦が起きやすいポイントが「土の体積変化」です。地盤を掘り起こすと、締め固まっていた土粒子の中に空気が混入し、体積が大幅に増加します。この物理現象を数値化したものが「土量変化率」です。
根切り土量計算では、以下の3つの状態を明確に区分します。
- 地山土量(自然状態の土量):掘削前の地面の体積(設計図面上の根切り寸法)。
- ほぐし土量:掘削してダンプトラックに積み込んだ状態の体積。一般的に地山土量の1.2倍〜1.3倍に膨らむ(係数L)。
- 締固め土量:基礎完成後に土を埋め戻し、転圧した後の体積。地山土量の0.85倍〜0.95倍程度に縮小する(係数C)。
基礎を打設した後は、掘り出した土の一部を基礎の周囲に埋め戻します。この残土処分と埋め戻しのバランス計算が極めて重要です。地山状態で「100㎥」を根切りした場合、ダンプカーで搬出する際はほぐれて「120〜130㎥」分の運搬枠を確保しなければなりません。基礎躯体が収まった後の埋め戻し土量を差し引いた残りが「建設発生土(残土)」として場外処分されます。
根切り費用相場の内訳を見ると、純粋な機械掘削費用は1㎥あたり1,000円〜2,500円程度ですが、残土処分費用は近年の環境規制強化や最終処分場の残余容量逼迫を受け、1㎥あたり4,000円〜8,000円超まで高騰しています。住宅一棟の基礎工事であっても、土量計算を誤ってダンプの往復台数が2〜3台増えるだけで、数万円から十数万円の予期せぬ追加コストが発生する構造が現場に存在します。