原子やイオン、分子が空間内に規則正しく整列した固体を「結晶」と呼び、その周期的な配列パターンを数学的に抽象化した概念が「結晶格子」です。この広大な周期構造の中で、対称性を保ちながら結晶全体を再現できる最小の平行六面体を「単位格子(ユニットセル)」と呼びます。格子定数とは、まさにこの単位格子の幾何学的形状を完全に決定づける寸法の総称に他なりません。
空間幾何学上、三次元の平行六面体を厳密に定義するためには、合計6つのパラメータが不可欠です。独立した3本の結晶軸の長さを表す「軸長(a, b, c)」と、それぞれの軸が交わる角度を表す「軸角(α, β, γ)」です。学術的にはこれら6つのパラメータ全体を格子定数(Lattice Parameters)と総称しますが、結晶の対称性が極めて高い「等軸晶系(立方晶系)」においては、すべての辺の長さが等しく(a = b = c)、すべての角度が直角(α = β = γ = 90°)となるため、辺の長さ「a」のみを単に格子定数と呼ぶことが定着しています。
用いられる格子定数の単位としては、ナノメートル(1 nm = 10⁻⁹ m)やピコメートル(1 pm = 10⁻¹² m)の国際単位系(SI単位系)が標準的ですが、結晶学の歴史的経緯および原子サイズとの親和性から、オングストローム(1 Å = 0.1 nm = 10⁻¹⁰ m = 100 pm)も研究論文や工業規格において依然として頻繁に使用されています。一般的な金属結晶の格子定数は、おおむね数オングストローム(0.2 nm〜0.6 nm程度)の極微領域に収まります。