九州を代表する温泉地として知られる由布院。和風の老舗旅館や静謐な街並みが広がるこの地に、なぜイギリスの田園風景が持ち込まれたのか。
着想の源流は、映画『ハリー・ポッター』のロケ地としても名高い英コッツウォルズ地方にある。黄色みがかった蜂蜜色のライムストーン(石灰岩)を用いて作られた低い屋根の建物、路地を彩るイングリッシュガーデンの草花。これらはすべて、実際のコッツウォルズの街並みと同等のスケール感で設計されている。
実際に現地に立つと、視線の低さに気づくはずだ。大人の身長より少し高い程度の屋根やこぢんまりとしたドアのサイズ感は、訪れる者に「まるで自分が絵本の小人になったかのような」感覚を与える。この緻密な縮尺計算こそが、写真一コマでは収まりきらない強烈な非日常感を醸し出している。