刃物で襲われた直後、集中治療室で生死の境をさまよった冨田さんを待っていたのは、過酷な現実に直面する日々だった。顔面や首周りへの深傷は、皮膚だけでなく血管や神経、筋肉にまで達していた。複数回に及ぶ縫合手術や皮膚移植を経て生命は繋ぎ止められたものの、元通りの肌を取り戻すことは不可能だった。
顔の傷跡は、傷ついた当事者にとって単なる「皮膚の痕」にとどまらない。日常のふとした瞬間に鏡へ目をやったとき、あるいは会話中に相手の視線が自分の顔の傷に落ちたとき、あの日の襲撃の恐怖が鮮明にフラッシュバックする。犯罪被害者の外見ケアや形成外科的治療に対する公的支援は依然として不十分であり、高額な自由診療費用や精神的ケアの壁が重くのしかかっているのが実情だ。