言葉の本来の意味を離れ、ビジネス現場やSNS上では「それは日本語としておかしいのでは?」と物議を醸すケースが後を絶ちません。編集部が知恵袋やビジネスコミュニティでの議論、社内チャットツールの実態を調査したところ、顕著な誤用パターンが浮かび上がってきました。
現場で多発する「恥ずかしい誤用」の典型例
最も典型的な間違いは、客観的な数値・物理的現象・具体的な物質を払拭しようとすることです。
- ❌ 誤り:「新規事業を成功させて、累積した赤字を払拭する」
👉 正しい表現:「赤字を解消する」「赤字を埋める」 - ❌ 誤り:「経費削減を進め、多額の借金を払拭した」
👉 正しい表現:「借金を完済した」「負債を解消した」 - ❌ 誤り:「テーブルにこぼれたコーヒーを払拭する」
👉 正しい表現:「コーヒーを拭き取る」
SNSやQ&Aサイトでも、「上司が『今期の赤字を払拭しろ』と訓示していて違和感を覚えた」「若手社員の日報に『オフィスのゴミを払拭しました』と書かれていて頭を抱えた」といった生々しい投稿が散見されます。
払拭はあくまで「心や頭の中にあるネガティブな影」を取り除く言葉です。「赤字」や「借金」は通帳や決算書に記載される客観的数字であり、感情ではありません。「赤字に対する投資家の懸念を払拭する」であれば正しい日本語になりますが、「赤字そのものを払拭する」とは言えないのです。