SNSや自動車コミュニティ、Q&Aサイトなどでは「EVモードを頻繁に使っているのに思ったほど燃費が伸びない」「むしろガソリンの減りが早くなった気がする」というリアルな声が散見されます。実は、通常のハイブリッドにおけるEVモードと燃費には、熱力学・エネルギー保存則に起因する見落としがちな罠が存在します。
通常のHEVは、外部コンセントから充電することができません。つまり、車載バッテリーに蓄えられている電力は、「元をたどればガソリンを燃やして発電したエネルギー」または「減速時に回収した回生ブレーキエネルギー」のどちらかです。
平坦な道路でドライバーが意図的にEVスイッチを押し続けてバッテリーを限界まで使い切ってしまうと、その後システムはどう動くでしょうか。バッテリー残量が底をついた車両は、走行用モーターを動かすだけでなく、減ったバッテリーを大急ぎで充電するために、エンジンの回転数を上げて通常より余計にガソリンを消費しながら発電せざるを得なくなります。
エネルギーを「ガソリン(熱)→ 発電(電気)→ バッテリー充電(化学)→ モーター駆動(運動)」と何度も変換する過程で熱損失が発生するため、無理な強制EV走行はトータルのエネルギー効率を著しく低下させます。車両のコンピューターが自動制御で行う「ハイブリッド協調走行」に任せたほうが、結果として最も優れた実燃費を叩き出せるのです。