この劇的な事件と是清の最期は、多くの名作映像作品を通じて語り継がれてきた。1989年に公開された映画『226』では、豪華キャストによる重厚な演出のもと、雪の中の決起から急襲に至る緊迫感が迫真のリアリティで描かれ、息を呑むような暗殺シーンが観客に強い衝撃を与えた。
一方、NHKの大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』では、人間味あふれる魅力的な是清像が描写された。激動の時代を豪胆に生き抜き、スポーツや文化の発展にも理解を示した指導者が、突如として暴力に命を奪われる理不尽さが胸を締め付けるコントラストを生み出し、放送時に大きな反響を呼んだ。
作品ごとにアプローチは異なるものの、いずれの描写においても共通しているのは、死の直前まで国家の行方を憂い、暴徒を前にしても取り乱さなかった高橋是清という巨人の気概である。