「便利さ」の代償として、私たちは多くのものを削ぎ落としてきた。クリック一つで数万冊の本を持ち歩ける時代は確かに素晴らしい。しかし、誰かが手垢をつけ、涙をこぼし、大切に本棚に保管してきた「一冊の物質としての本」が持つ歴史は、データには代替できない。コタローの肉球が触れているその表紙には、かつてそれを読んだ名もなき誰かの人生が刻まれている。その重みを守ることの価値を、私たちはもう一度考え直す局面に立たされている。
画面の奥に消えゆく言葉たちへ――神保町の古書店で起きた、小さな「守護者」の奇跡
•
•
1分で読める