「土・どろんこ館」を語る上で欠かせないのが、建物そのものが持つ圧倒的な造形美と素材の迫力です。住宅設備機器大手LIXILが運営するINAXライブミュージアムにおいて、この施設は「土が持つ無限の可能性と命のぬくもり」を体現するモニュメントとして建てられました。
建物の内外装には、驚くべきことに約1万5,000個もの手作り日干し煉瓦が積まれています。日干し煉瓦とは、窯で焼成することなく、常滑の土と藁、水を混ぜ合わせて木枠に入れ、太陽の光と風だけで乾燥させて固めた原始的かつ持続可能な建築素材です。館内に入ると、コンクリート建築特有の冷たさや反響音がなく、どこか洞窟や胎内を思わせるしっとりとした湿度と土の香りに包まれます。
さらに壁面には、職人の手仕事による荒々しい版築(はんちく)や左官仕上げの土壁が連なり、光と影の陰影が時間とともに移ろいゆく様子を観察できます。大人がワークショップで深い精神統一に入り込めるのは、この有機的な土の建築空間が持つ音響・調湿・視覚的包容力に守られているからに他なりません。