この場所の物語を紐解くには、時計の針を少し巻き戻す必要がある。1988年、日本ケンタッキー・フライド・チキン(現・日本KFCホールディングス)がこの八雲町に立ち上げた「ケンタッキー実験農場プロジェクト」こそがすべての始まりだった。創業者カーネル・サンダースが終生抱き続けた「本物の美味しさは健やかな環境から生まれる」という信念を、日本の風土で具現化するための挑戦だったのだ。
冷涼な気候、澄んだ空気、そして豊かな水。鶏にとってストレスのない環境を求めて行き着いた八雲の地で、試行錯誤の末に生み出されたのが、オレガノやタイムなどの天然ハーブを飼料に配合して育てる「ハーブ鶏」だ。いまや全国で広く知られるこのブランド鶏の原点が、まさにここにある。事業形態が変わった今もなお、創業時の徹底した品質へのこだわりとクラフトマンシップは、厨房の熱気の中にしっかりと受け継がれている。