TBSテレビを代表する名プロデューサー石井ふく子が指揮を執る現場は、まさに一つの巨大な「家族」そのものだった。妥協を許さない制作姿勢でありながら、出演者やスタッフに対する深い愛情が充満していたスタジオ。とりわけ母親役を務めた泉ピン子との師弟関係、あるいは疑似親子とも言える強い絆は、画面越しにも溢れ出ていた。
泉ピン子はNGを出さないことでも知られる妥協なき演技派だ。その厳しい眼差しと温かいアドバイスが、若き演技者を徹底的に鍛え上げた。本気で叱り、本気で抱きしめる。そんな本物の感情のやり取りがあったからこそ、「幸楽」の日常にはウソのないリアルな血が通っていたのだ。芸能界の第一線で生き残るための礼儀作法や役者魂は、この二人の偉大な女性から直に受け継がれた。