『何色の何』のジャンル構造は、一筋縄ではいかない。極上のSFミステリーでありながら、人間の内面や業を深く掘り下げる重厚なサスペンスドラマの側面を強く併せ持っている。
物語の核となるのは、記憶と色彩を失った主人公が、自らの過去と世界に隠された「色彩の意味」を追う不穏な逃避行だ。日常の景色が突如として異質な空間へと変容する不可思議な現象、そして次々と現れる謎の人物たち。観客は主人公と同じ目線で手がかりを拾い集め、張り巡らされた謎を紐解いていくことになる。単なるSF的ギミックにとどまらず、サスペンスドラマ特有のスリリングな心理戦と人間模様が交錯し、観る者の感情を揺さぶり続ける。