あの騒動の異常さは、両者の主張がどこまでも平行線をたどった点にあった。「電話で別れを告げられた」と説明する歌舞伎俳優側に対し、女性側は「家賃も彼が払ってくれていたし、荷物もそのまま」「話し合いは終わっていない」と生放送で涙ながらに反論。密室で交わされるべき男女の生々しいやりとりが、一瞬にして全国のお茶の間に晒される事態となった。
当時のワイドショーは連日この問題をトップニュースで扱い、どちらの言い分が正しいのかという不毛な犯人探しに終始した。世間は突如として突きつけられた生々しい人間ドラマに固唾を呑み、プライベートの切り売りとも取れる泥沼劇に巻き込まれていったのである。