長女がプライベートを守り抜く一方で、長男の渡瀬暁彦氏はテレビドラマ業界という父親と同じフィールドで実力を発揮していった。TBSの看板ドラマ制作に携わり、数々のヒット作を世に送り出す過程で、父親の七光りを一切利用せず、自らの腕一本で演出家としての地位を築き上げたのは有名な話だ。
かつて渡瀬恒彦がTBSの看板企画として長年主演を務めた『十津川警部シリーズ』をはじめとする名作群の息吹は、形を変えて息子へと受け継がれている。娘が外側から静かに家族を支える一方で、息子は内側から日本のドラマ文化を支え続ける。父親の遺志と矜持は、兄妹それぞれのあり方の中に確かに息づいている。