2019年、斎藤大輝は小野薬品工業に入社し、医薬情報担当者(MR)として第一歩を踏み出した。小野薬品工業は1717年創業の老舗製薬企業であり、オプジーボなどの革新的な医薬品で知られる。MRという職種は、医師や薬剤師に医薬品の適切な情報を提供し、医療の質向上に貢献する専門職だ。
彼の担当エリアは、個人クリニックから大規模病院まで多岐にわたった。朝8時前に出発し、一日に10件以上の医療機関を訪問する日々。医師との対話では、専門的な医学知識と製品知識が求められる。彼はこの環境で、顧客の真のニーズを引き出すコミュニケーション技術を磨いた。
製薬業界でのMR経験は、斎藤にとって「顧客中心主義」の本質を学ぶ場となった。医師は多忙を極める。限られた時間の中で、いかに価値ある情報を届けるか。その訓練は、後のIT業界でのセールス活動に直接活かされることになる。