日本の5000円札は、時代ごとの国家観や社会的要請を反映しながら肖像を変遷させてきました。歴代の肖像人物を振り返ると、日本の歴史的価値観のシフトが浮き彫りになります。
高度経済成長期である1957年に登場したC号券では、長らく日本の最高額紙幣の象徴だった聖徳太子が採用されました。その後、1984年のD号券では国際連盟事務次長を務めた新渡戸稲造へと交代し、「国際協調と平和教育」の精神が前面に打ち出されます。
そして2004年のE号券において、日本の紙幣史上約120年ぶりとなる女性肖像として小説家・樋口一葉が抜擢されました。津田梅子への刷新により、5000円札は2代連続で女性が肖像を務める特別な券種となりました。文化振興から女性の社会進出・教育へと、紙幣が語るメッセージは確実に時代の歩みを映し出しています。