東京都内の保護者層が都立中高一貫校を熱望する最大の誘因は、極めて高い教育水準と経済的合理性の両立にあります。私立中高一貫校に通う場合、入学金や授業料、施設維持費などで中高6年間の学費総額は約500万〜700万円に達するのが一般的です。対して、都立中高一貫校(中等教育学校および併設型中学校)の前期課程(中学校段階)は義務教育であるため授業料が無償であり、後期課程(高校段階)でも国の就学支援金や都の授業料実質無償化制度の対象となります。この都立中高一貫校の学費メリットは、教育費が高騰する現代の家計にとって破格の魅力です。
教育内容においても、私立の先取り詰め込み型とは一線を画します。都立中高一貫校の根底にあるのは、文部科学省の学習指導要領を基盤としつつ発展させた「探究型学習」と「課題解決能力の育成」です。理数教育に特化したスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定や、海外研修・国際バカロレア(IB)プログラムの導入など、公立のスケールメリットを活かした贅沢な教育環境が整備されています。
入試形態における決定的な違いも見逃せません。私立中学受験が国語・算数・理科・社会の4教科における高度な知識の暗記や特殊な解法パターンを問うのに対し、都立入試は教科横断型の「適性検査」で実施されます。小学校で習う基礎知識を前提に、長文の資料や図表を正確に読み取り、自らの考えを論理的な文章で表現する力が求められます。この選抜方針の違いこそが、私立志向層とは異なる幅広い層を惹きつける理由です。