正統派の歴史劇とは一線を画し、独自の世界観で社会現象を巻き起こしたのが、よしながふみ原作のNHKドラマ10『大奥』です。男子のみを襲う謎の疫病「赤面疱瘡(あかづらほうそう)」により男子の人口が激減し、女性が将軍として国を治め、男性が大奥に仕えるという大胆な設定が敷かれました。
NHK版では、各シーズンごとに主役となる将軍とキャストが交代するオムニバス形式が採用されました。主な配役は以下の通りです。
・徳川吉宗(演:冨永愛):第8代将軍。質素倹約を掲げ、赤面疱瘡の撲滅に情熱を注ぐ名君。
・水野祐之進(演:中島裕翔):貧しい旗本の出で、吉宗に見初められる大奥の侍。
・徳川家光/千恵(演:堀田真由):第3代将軍。過酷な運命に翻弄されながら万里小路有功と深い絆を結ぶ。
・万里小路有功(演:福士蒼汰):公家出身の僧侶から家光の側室となり、大奥総取締として秩序を築く。
・徳川家茂(演:志田彩良)& 和宮(演:岸井ゆきの):幕末の激動期を支え合った運命の二人。
・一橋治済(演:仲間由紀恵):第11代将軍・家斉の母。冷酷非道に邪魔者を排除する大奥史上屈指の怪演。
フジテレビ版が「女同士の足の引っ張り合いと愛の試練」を克明に描いたのに対し、NHK版は「性別役割の逆転を通して浮き彫りになる人間の尊厳と愛」をテーマに据えており、両作品のキャストのアプローチや人間関係の描かれ方を比較すると、大奥という舞台が持つ重層的な魅力がより際立ちます。