長年親しまれた楽曲の交代には、常にファンの戸惑いとメディア論的な必然性が交錯します。特に語り草となっているのが、2019年10月に行われた「夢をかなえてドラえもん」から星野源の「ドラえもん」への電撃交代です。ドラえもん歴代OP曲変更の理由について、テレビ朝日の編成関係者や制作プロデューサーが当時言及したのは、アニメ放送枠の歴史的移行(金曜夜7時から土曜夕方5時へ)に伴う「全世代型フラッグシップ番組への再定義」でした。
当時、少子化や動画配信サービスの台頭により、地上波ゴールデンタイムにおけるアニメ視聴環境は劇的に変化していました。土曜夕方枠へのシフトにあたり、幼少期に大山版を見て育った親世代と、水田版で育つ子ども世代が「ひとつのリビングで等しく熱狂できる接着剤」として選ばれたのが、2018年公開の『映画ドラえもん のび太の宝島』で特大ヒットを記録していた星野源の楽曲だったのです。
しかし、この交代発表直後におけるドラえもん主題歌交代ネットの反応は決して穏やかなものばかりではありませんでした。SNS上では「maoさんの曲で育ったから寂しすぎる」「映画の主題歌をそのままTVのOPにするのは違和感がある」といった惜別の声や困惑が数多く投稿され、一時トレンドを席巻しました。長年定着したアニソンが変わる際、視聴者に生じる心理的抵抗感(現状維持バイアス)が顕著に現れた事例といえます。
ところが放送開始から数ヶ月が経過すると評価は一変します。星野源の楽曲が持つ圧倒的な完成度とドラえもん愛、そして毎週土曜の夕方に響く小気味よいビートが、現代の生活リズムに見事にフィットしたのです。2026年現在、水田わさび版ドラえもんオープニング現在のスタイルとして星野源の楽曲は完全に定着し、かつて交代に眉をひそめた層からも「いまやこの曲以外考えられない」と称賛されるに至っています。