かつての「歌本をめくって順番を待つ」カラオケバーの姿は、ここにはない。店内には壁面全体を覆う超高精細LEDディスプレイと、歌い手の声質や曲調に合わせてリアルタイムで変化する最先端の照明システムが組み込まれている。誰かがマイクを握ると、そこは一瞬で数万人規模のアリーナへと変貌するのだ。
「普通のカラオケボックスだと、自分が歌っている時に周りがスマホを見ていると少し寂しいじゃないですか」と、週に2回通うという30代の常連客は語る。「でもここでは、イントロが鳴った瞬間に全員が味方になる。サビに入れば見知らぬ人たちが完璧なコールを入れてくれる。あの全能感は一度味わうと病みつきになりますよ」。歌唱技術の上手い下手は関係ない。必要なのは、作品に対する「愛」と声量のふたつだけだ。