この事件について、現代のネット言論では「東京福祉大学だけが特殊な極悪校であり、勝手に暴走した」と片付けられがちです。しかし、そこには見落としてはならない社会構造の盲点が存在します。
第一の誤解は、「大学だけが単独で留学生を集めていた」という錯覚です。
実際には、現地(ベトナム、ネパール、中国など)にある悪質な日本語送り出し機関、日本国内の日本語学校、そして外国人労働者を深夜の過酷なシフトで常態的に必要としていた外食チェーン、コンビニ向け食品工場、物流仕分け倉庫といった国内産業が強固なエコシステムを形成していました。日本社会が「労働力不足」という現実から目を背け、「留学生の資格外活動」という便法に依存し続けた歪みが、東京福祉大学という器を通じて極端な形で表面化したに過ぎません。
第二の誤解は、「現在でも野放しで不法滞在者を量産している」という現在の受け入れ状況に対する認識のズレです。
文科省と入管の徹底的な締め付けを受け、大学側はガバナンス体制を刷新。不正に関与した役員の刷新や、学籍管理システムの電子化、日本語能力検定(JLPT)基準の厳格適用など、現在の東京福祉大学は国内でも群を抜いて審査・在籍管理が厳しい大学の一つへと様変わりしました。かつてのような「書類だけで入れる緩い大学」という認識は、2026年現在の現場では完全に過去の遺物となっています。