凄惨なバトルやサスペンス要素だけでなく、人と人(あるいは喰種)の魂の交錯を描いたドラマ性の高さも本作の魅力です。特に親友・永近英良(ヒデ)との絆は、涙なしには読めない名場面の宝庫となっています。
無印の終盤、満身創痍で地下通路を彷徨うカネキの前に現れたヒデは、カネキが喰種であることをすべて理解した上で「帰ろう」と微笑みかけました。「ヤろっか」と自らを差し出し、親友を生かすために犠牲となったヒデの献身は、カネキの孤独な魂を繋ぎ止める決定打となります。のちに『:re』でスケアクロウとして生存が判明し、素顔を晒して再会を果たした際の「お前が好きだからだろ カネキ」というストレートな言葉は、多くの読者の涙を誘いました。
心に残る名言はヒデとの関係だけに留まりません。カネキが残した言葉の数々は、苦悩と成長の軌跡そのものです。
- 「この世のすべての不利益は 当人の能力不足」(ヤモリの持論を自らの戒めとして取り込んだ冷徹な言葉)
- 「僕は『喰種』だ」(自らのアイデンティティを受け入れた覚醒の瞬間)
- 「ただひたすらに かっこ悪くても 生きるんだ」(幾度もの絶望を乗り越え、生を肯定した魂の叫び)