放哉の凄絶な晩年を、緻密な取材と透徹した筆致で描き切ったのが、作家・吉村昭による評伝小説『海も暮れきる』だ。吉村は放哉を過度に美化することなく、エゴと執着、そして創作への狂気を生々しく浮き彫りにした。この原作をもとに制作された評伝ドラマ『海も暮れきる』は、放哉の哀愁と凄みを余すところなく映像化し、大きな反響を呼んだ。
現在ではNHKオンデマンドをはじめとする映像配信サービス産業の普及により、過去の名作ドラマやドキュメンタリーが世代を超えて掘り起こされている。画面越しに伝わる放哉の息遣いは、便利で過剰につながりすぎた社会を生きる現代の視聴者に対し、人が真に「個」として存在するとはどういうことかを静かに問いかける。