物語の序盤、かつて武石中学の主将であった三井寿の回想シーン。全国大会の決勝戦、残り時間はわずか14秒、点差は開いており、誰の目にも勝敗は決したかに思えた。ルーズボールを追いかけてフロアに倒れ込んだ三井の前に、白髪の穏やかな男性が現れる。それが湘北高校バスケットボール部監督の安西光義であった。
安西は、諦めかけた少年の視線を静かに受け止め、柔らかくも力強い声で問いかける。「最後まで……希望を捨てちゃいかん」。そして続けて放たれたのが、あの伝説的な台詞だ。命を吹き込まれた三井は劇的な逆転シュートを決め、チームを優勝へと導く。作者である井上雄彦の細やかな感情描写と劇的な演出は、読者の心に強烈な原体験として刻まれた。