ペギー葉山さんが遺した最大の文化的遺産のひとつが、ミュージカル映画『サウンド・オブ・ミュージック』の劇中歌「ドレミの歌(Do-Re-Mi)」の日本語訳詞です。
原曲の英語詞は「Doe, a deer, a female deer(ドは鹿の雌)」といった英語の韻を踏んだ言葉遊びでした。ペギーさんが訳詞を依頼された際、子どもたちが日常で親しんでいる身近な言葉でなければ意味がないと考え、劇団四季の創設者らとも議論を重ねながら独自の歌詞を生み出しました。
「ドはドーナツのド」「レはレモンのレ」「ミはみんなのミ」「ファはファイトのファ」という、リズミカルで親しみやすいフレーズはこうして誕生しました。この日本語詞はNHK『みんなのうた』を通じて全国に広がり、小学校の音楽教科書にも採用され、半世紀以上にわたって日本中の子どもたちに歌い継がれています。
さらに、1973年放送の円谷プロ作品『ウルトラマンタロウ』では、シリーズ初となる女性ヒーロー「ウルトラの母」の声を担当。第1話では主人公・東光太郎を見守る「緑のおばさん」として実写でも出演しました。威厳と優しさを兼ね備えたペギーさんの声と佇まいは、特撮界においても慈愛の象徴として伝説化しています。