結論を急ぐ前に、数字の罠を直視する必要がある。国内で観測される体に感じる地震は年間1,000回を超える。日本列島は常に動いており、確率論的に言えば「数日以内に日本のどこかでM5クラスが起きる」という予測は、いつ発令しても一定の割合で当たってしまうのだ。
2026年現在、データ解析機関や統計学者がSNS上の「予言アカウント」を網羅的に追跡調査した検証結果によれば、拡散された「的中事例」のほぼすべてが「数千件のハズレの中に埋もれたたった一つの偶然」であることが判明している。X(旧Twitter)やYouTubeには毎日、数多の予知情報が投稿されているが、時期や場所を曖昧にし、後から「当たった」と強弁する手口が大半を占める。
人間には、外れた大量の予測を忘れ去り、当たった一回だけを強く記憶に刻む「確証バイアス」と呼ばれる心理メカニズムが存在する。タイムラインで無数に打たれた「数撃ちゃ当たる」鉄砲のひと発が、たまたま発生時期と重なったに過ぎないというのが、検証データが突きつける冷酷な現実である。