慶喜本人が大のカメラ好きだったという事実も見逃せない。明治期に入ると、彼は自ら暗室にこもり、写真の現像や焼き付け作業に没頭した。時には自らカメラを構え、時には被写体として家族や風景の中に収まった。
自分がどう見られているか、レンズを通してどのように記録されるかを熟知していた慶喜は、言わば日本におけるセルフプロデュースの先駆者だった。残された写真の数々が今なお魅力的であるのは、彼自身の高い美意識と写真技術への深い造詣が結実した結果と言える。レンズの向こう側を鋭く見見つめる構図は、現代のプロカメラマンすら唸らせる出来栄えだ。